久方ぶりに単行本を完読した。加齢とともに眼が衰えてきており、近年は長い文章を読むことを避け、拾い読み・斜め読みの癖がついていた。
ところが、先日、家内が岩美出身の知人から「愛郷 外交官・澤田廉三の生涯」(片山長生著)を勧められ、借りてきたことが発端。最初の数ページに目を通した結果、欲しくなり書店に走って、即、購入し、ハズキルーペの力を借りながら数日かけて読んだ。
実は、昭和33年・鳥西高3年の頃と思うが、鳥取一中(現西高)の大先輩で初代国連大使を務められた澤田廉三さんが、帰郷された機会ということで、西高講堂に在校生徒が集められ講話を聴いた覚えがあり、お名前は記憶に残っている。今、思えば1956(昭31)年に国連加盟を成功させた直後のことであったのだ。
その折、未熟な私には、残念ながら具体的なお話の内容の記憶は定かでない。ただ、お話の締めくくりに「オールド・ブラック・ジョー」をアカペラで朗々と独唱されたのが、強烈な印象として残った。
後年になって、美喜夫人が開設された「エリザベス・サンダースホーム」の名前も知るに至った。
このたび、この本を読んで、廉三さん・美喜夫人そして兄・節蔵さんの足跡を知り、大正・昭和の激動の時代を日本の外交にささげられた功績に、胸が熱くなる思いをした。故郷鳥取に偉大な先達ありと叫びたい。